公開日 : 2018/11/28

店舗拡大だけじゃない。
フィットネス人口を増やすために
エニタイムフィットネスが挑む新たなる挑戦 「社会とつながろう!OPENフィットネス宣言」

エニタイムフィットネスは新たな取り組みとして「社会とつながろう!OPENフィットネス宣言」を行いました。これはエニタイムフィットネスが、さらに社会とつながることを目的とした活動のスタートを宣言するものです。その第1弾の活動として「Healthier Islands Project」と「FLOW health TEC」を発表。今後、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)に即した様々な活動を行っていきます。

沖縄県座間味村の宮里哲村長、株式会社インセクト・マイクロエージェンシーの川村行治代表取締役と、株式会社Fast Fitness Japan代表取締役社長(CEO兼COO)土屋敦之(取材当時)が、OPENフィットネス宣言の根底にある想いや活動に対する意気込みについて語り合いました。

(左から)㈱インセクト・マイクロエージェンシー代表取締役 川村行治氏、㈱Fast Fitness Japan代表取締役社長 土屋敦之、沖縄県座間味村 村長 宮里哲氏

なぜフィットネス事業者がSDGsを掲げるのか?

土屋「日本初の24時間フィットネスクラブ」として2010年に東京・調布に国内1号店をオープンし、2018年9月には400店舗を突破。当初の中長期計画に掲げていた「2020年までに500店舗」という目標を、2019年春には1年前倒しで達成する見込みです。おかげさまで店舗数も伸び、順調に成長を果たせていますが、企業としてはさらに高みを目指していかなければなりません。

土屋敦之

そうした私たちの前には『総人口に対して3%』という、おそらくフィットネス業界で何十年も変わっていないであろう参加率の停滞が横たわっています。私はこの数字を欧米並みの10%まで引き上げたいと考えていますが、その壁を打破するにはフィットネスクラブを特別なステータスではなくスタンダードな存在に、あるいは非日常から日常の存在へと変え、もっと社会とつながっていくことが重要だと思っています。そのため、私たちの意気込みを示すスローガンとして、OPENフィットネス宣言をしました。
社会貢献という面において、これまでも世界的な障害者スポーツ団体の日本法人であるスペシャルオリンピックス日本(SON)へのサポートのほか、高校生の施設利用を無料で支援するハイスクールパスの導入など、幾つかの取り組みを行ってきました。
SONのサポートをさせていただいたことで、私を含めて社内のスタッフ自身がSONという団体を知ることができたのがまず大きかったですね。私たちが関わることで団体の認知が上がったとSONの方々から言っていただけたことも嬉しかったです。今はSONアスリートの方に施設を利用していただく取り組みも行っています。
一方のハイスクールパスについては、高校生がワークアウトの実体験を積んだり、充実したトレーニング環境のない部活学生のサポートに一定の効果を感じており、現在では総会員数の1%にあたる約3,000名がこのパスの利用者になっています。

「できないならそのままでいいのか」という自己矛盾との葛藤

土屋今回の「社会とつながろう!OPENフィットネス宣言」の第1弾企画となるのが、「Healthier Islands Project(ヘルシアアイランドプロジェクト)」です。これは離島や過疎地などフィットネスクラブへのアプローチが難しい土地にエニタイムフィットネスの入替えマシンを寄贈するというプロジェクトです。既に沖縄県の座間味村が最初の寄贈先に決まっています。

土屋敦之

当社は『ヘルシアプレイスをすべての人々に』という企業理念を掲げていますが、実際にはすべての方々がエニタイムフィットネスに加入できるわけではありません。例えば、座間味村のような離島は収益を求めるとなると出店が難しいのが正直なところです。できないならそのままでいいのかと、そうした“自己矛盾”をどう解決するかを考えていた折、当社が後援していたSUP(スタンドアップパドルボード)の大会で座間味島を訪れました。そこで宮里村長に出会ってお互いの課題を話していたんですが、村はスポーツ合宿の誘致に力を入れていて、そこには我々が力になれる部分があった。フィットネスマシンを贈ることによってその島の健康増進、あるいは地域活性化などに寄与できれば、私たちの企業理念も達成できると思ったんです。
サービスのクオリティ維持のため、エニタイムフィットネスでは約5年周期でマシンの入替えを行っています。寄贈されるのはそれらの入替えで以前は廃棄されていたマシンです。廃棄とはいえ、メンテナンスを続ければ、その後も10年20年と長きにわたって使い続けることができます。
店舗の増加に比例して入替えのマシンも増え始めており、それらを廃棄するのは環境にも優しくありません。また、一部では我々の廃棄したマシンを同業他社が購入して使っているケースもあり、マシンの廃棄に問題を抱えてきたという面もあります。その点において本プロジェクトのようなマシンのリユースは、我々にとっても地域にとっても有益なサイクルになるはずです。

エニタイムのマシンを呼び水にしてスポーツ合宿を呼びたい!

宮里沖縄県の座間味村は、座間味島、阿嘉島、慶留間島、3つの有人島からなる自治体です。那覇から座間味島までは高速船で50分。ケラマブルーとも言われる碧く透明感の高い海で行うオーシャンアクティビティが主要な観光資源になっています。私たちの村が最初の寄贈先に選ばれたのは、「社会に貢献したい」という土屋社長の想いと、「村を活性化したい」という私たちの思いが合致したからです。
村の人口の6割が住む座間味島は島内の産業の93%を第3次産業が占め、観光業がメインの島です。人口930人の村に年間11万人近い観光客が訪れるのですが、その観光客数の5割は7月から9月に集中しています。つまり夏場の観光は非常に好調なのですが、その他の時期の観光客は少ないのが現状です。そこを増やせば安定した雇用が生まれ、若者の定住も進むはずと考えています。

座間味島

ホエールウォッチングやノルディックウォークといった通年楽しめるアクティビティのPRに加え、村が数年前から力を入れているのがスポーツ合宿の誘致です。実際に一昨年からセーリング競技の全日本強化合宿の誘致に成功しており、2018年も11月と12月にフランス、スペインとの3カ国合同合宿が予定されています。マシンはそのタイミングで寄贈され、合宿後は来年度完成するビジターセンター内のトレーニングジムに移されて、村民の健康増進にも活用されることになります。
セーリングの合宿は3年前から行っていますが、夜になると選手たちが機械のないところで基礎体力作りを一生懸命やっており、トレーニングマシンがあれば助かるという声は以前からいただいていました。そんな折にこのプロジェクトのお話があり、ぜひにと、こちらから二つ返事でお願いしました。彼らの合宿は観光客が少ない冬場に行われるので経済効果としても大きく、最近は成績も良いので有力な活性化策になることを期待しています。小さい島なので野球やサッカーなどのプロ球団の誘致はなかなか難しいのですが、将来的にはプロ選手にキャンプイン前の自主トレなどにも使ってもらいたいですし、大学や企業の運動部の合宿の場に使ってもらって地域の活性化を図っていきたいです。今回贈っていただくマシンがその呼び水になってくれると思います。

宮里哲

今回の取り組みの狙いはスポーツ合宿の誘致がメインですが、2017年から始まった国際大会の開催を機に、現在、座間味村の子供たちの間ではSUP(スタンドアップパドルボード)人気が過熱中です。神奈川・茅ヶ崎で開催された今年のジャパンカップに優勝者を輩出するなど「SUPの聖地」になりつつあります。今回のマシン寄贈は、そうした未来のアスリートにとっても大きな希望になると思います。
今回のプロジェクトを受けて、フィットネスに特化した施設の新設も考えていきたい。まずは私たちがこのプロジェクトをしっかり体現することで、次の地方創生、地域活性化につながると思っています。

土屋座間味村のケースでは宮里村長自身に問題点を解決するためのアイデアがあって、社会貢献をしていきたい私たちとしてもそこがすごく重要なポイントでした。私たちがマシンを寄贈することをきっかけとして、そこに住む方々が豊かになっていくことが大切。必ず事業に繋げる必要はありませんが、どんなスキームでどんな風に進めていくのか、自治体の方たちの情熱のようなものを感じたいです。
ヘルシアアイランドプロジェクトについては既に第2・第3の自治体が候補にあがっています。今後も多くの問い合わせがありそうですが、マシンの寄贈が社会貢献にいかに役立つか、という部分を大切にしながら新たなパートナーを選んでいきたいと考えています。

運動量をポイント化して価値に変える

土屋今回の宣言ではもうひとつ「FLOW health TEC(フロウ・ヘルステック)」も発表しました。スポーツ用品・機器ブランドであるPrecor(プリコー)を提供するアメアスポーツジャパン株式会社と、デジタルサイネージの開発などを行う株式会社インセクト・マイクロエージェンシーが開発したポイントシステムのプラットフォームです。運動量を流通可能なポイントに換算するという、フィットネス事業者向けの画期的な仕組みです。

FLOW health TEC

インセクトさんとは既に店舗に導入しているAF-Healthier TV(エニタイム ヘルシアTV)でご縁があり、その流れで新たにFLOW health TECの提案をいただきました。会員の方々の継続率を高めるのは我々の永遠のテーマですが、クラブに来て運動すればポイントが貯まって、そのポイントが流通する価値に変わるというのが興味深かったですね。
FLOW health TECはフィットネス事業者向けのオープンなプラットフォームです。日本で初めて24時間フィットネスクラブを始めたエニタイムフィットネスが「最初の導入企業」になるということにこだわりました。このシステムの導入によって、会員の方々のQOLの向上や運動習慣型のプログラムの提案、運動を通じた社会への貢献などが生まれると期待しています。

運動量がポイント化。景品との交換も可能に!?

川村既に370店舗に導入されているエニタイム ヘルシアTVでは、インスタグラムと連動して各店舗のスタッフが発信した情報が全店舗のディスプレイに表示される仕組みになっています。それが店舗と会員を結ぶコミュニケーションツールの役割を果たしていますが、FLOW health TECも根本の考え方は同じです。

川村行治

FLOW health TECはポイントをコミュニケーションの道具(ツール)として捉えています。ポイントを「寄付する」「参加する」「交換する」ことで、様々なスポーツや健康をテーマとする隣接業界、サービス、地域社会を行き来し、結果として店舗と会員間のコミュニケーションの総量を上げることにつながります。このような関係値の中で、我々はフィットネス事業者の方と会員の方との間を埋める役割を提供することを目指しています。
運動量からポイントへの換算方法やポイントの交換景品など、詳細は調整中ですが、獲得ポイントは大手共通ポイントとの相互交換なども検討しています。運動習慣のモチベーション維持を目的にしたポイントだけに、運用方法や価値の変換は最も気を使う部分になります。モノではなく、コトのようにランニングが趣味の人をマラソン大会に招待するような景品プログラムがあってもいいかもしれません。ただ、プログラムを設計するのはあくまでクラブ事業者の方々なので、我々としてはいろいろなパートナーと組んで、会員の皆様の様々なモチベーションに対応するプログラム設計を簡便に行うための窓口を担当させていただきます。まずはエニタイムフィットネスさんとの取り組みを成功させて、そこからいろいろな事業者にサービスを広げていきたいです。

24時間フィットネスのパイオニアが再び革命を起こす

土屋敦之

土屋FLOW health TECは来年6月から直営店での展開を予定。続いて10月からの全店展開を目指しています。
おかげさまで創業から順調に成長していますが、そこであぐらをかくのではなく、得たものをどのように社会に還元していくか。今回、そうした中で具体的なコンテンツが生まれたことをとても嬉しく感じています。他にもいろいろイメージしている取り組みがあるので、具現化してきたら然るべきタイミングで発表したいと考えています。

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