スマートフォンの普及により、腕時計を着ける人が少なくなったと言われています。しかし、Apple Watchの登場で多くの人が「腕時計」に回帰しているようです。Apple Watchに代表されるスマートウォッチは、アプリをダウンロードすることでさまざまな機能を加えることができます。今回はスマートウォッチのなかでも運動機能に特化した「スポーツウォッチ」の魅力をヨドバシカメラの小島秀明さん(時計・スポーツチーム)にお聞きしました。
スポーツウォッチってなんだろう?
まずは「スマートウォッチ」のご紹介からしましょう。スマートウォッチとは腕時計型端末です。スマートフォンが時計になったようなものです。「スマートウォッチを使うと普通の時計に戻りづらくなる」という声をよく聞きます。特にメールやLINEなどの通知機能が便利で、スマートフォンをバッグに入れていても、通知に気が付きやすくなるからです。
スマートウォッチの中でも、「スポーツウォッチ」にはGPS、ルート指示、心拍計、トレーニングや休息の提案、カロリー計算、健康管理など、運動を楽しく続けられる機能がたくさん付いています。アプリが用意されていて、ほとんどがiOSとAndroidに対応しています。
さまざまなスポーツをサポートする
初めてスポーツウォッチをお使いになる方には、どういう目的で使いたいか、どんなスポーツが好きか、ご予算はいくらかなどをお伝えくだされば、こちらから提案させていただきます。広くさまざまな機能が欲しい方は、Apple Watchが良いと思いますが、特に運動が好き、健康管理をしたいというお客様にはスポーツウォッチをおすすめします。
最初はたくさんの機能があるスポーツウォッチに戸惑うかもしれません。さまざまな機能を使い歩数、心拍数、消費カロリーなどのデータを取り、健康管理を続けていくうちにスポーツウォッチの楽しさに気が付き、「よし、運動をしよう!」という気になるかもしれませんね。
お店でスポーツウォッチを探している方は、ランナーが多い印象です。「これから始めたい人(初心者)」、「フルマラソンを完走したい人(中級~上級者)」、「3時間の壁を切りたい人(上級者)」と幅広いランナーがお求めになります。
たとえば、GARMIN(ガーミン)やPolar(ポラール)などのスポーツウォッチには、GPSや心拍数測定、ランニングペースを管理する機能などがあり、一般ランナーやトレイルランナーに人気です。
また、ランニングだけではなく、ウォーキング、スキー、ゴルフ、サイクリング、トレーニングなどを行う人にもいいでしょう。GARMINなら、機種によってはゴルフ場やスキー場の地理データを参照し、ゴルフのスコアやスキーの滑走記録を付けることができます。Polarではスキートレーニングのセッションを記録することができます。
「機能はそれほどいらない、だけどApple Watchは毎日の充電が面倒だな」という方にはWithings ScanWatch (ウィジングズ スキャンウォッチ)がおすすめです。これはビジネスにも使えるルックスで、表面も傷に耐性のあるサファイアガラスを使用しています。一見、普通の時計に見えるのですが心拍計、歩数計、防水、睡眠管理、着信通知という基本機能は備わっています。通知領域の画面を狭くしていることでバッテリーが30日間も持ちます。これまでの時計と比べても、ストレスなく生活にスポーツウォッチとして取り入れることができるでしょう。
摂取したカロリーが分かるものも
新型コロナ以降、健康管理を重視している方が多くなっているように思います。そのため歩数、心拍数、血中酸素濃度などを測ることができるスポーツウォッチが人気のようです。中でも体調やコンディションのチェックに役立つ、血中酸素濃度センサーが付いているタイプに注目が集まっています。
どのようなメカニズムかというと、時計の裏側からLEDを手首に当て、反射光の量によって血中の酸素濃度を測定しているのです。測定するといっても医療グレードのものではないので、あくまでも目安です。
ユニークなものにHEALBE(ヒルビー)の「GoBe3(ゴービースリー)」というスポーツウォッチがあります。GoBe3は摂取カロリーを自動計測することが可能です。人は何かを食べた時、体内で血糖値の上昇や細胞のグルコース吸収などの反応が起こります。これを高周波数と低周波数の信号を手首に送って計測し、カロリーを算出するのです。
炭水化物とタンパク質は消化・吸収される時間が異なるので、GoBe3ではそれぞれの摂取・消費カロリーを追跡することができます。つまり、カロリーの収支がつけられるのです。これは最強のダイエットウォッチですね。「ダイエットがしたい」という方におすすめしています。ほかに水分バランス、ストレスレベル、睡眠の質、脈拍数、歩数・移動距離なども計測することができます。
生活のモチベーションを上げるもの
繰り返しになりますが、今回ご紹介したものは、あくまでも「スポーツウォッチ」です。この計測機能の目的は「気付きを持ってもらう」ことです。絶対値ではなく相対値を測る器具として用い、ご自身の体の変化を知ってほしいと思います。ですので、なるべく使いやすく、長く使っていただけるものを選ぶのが良いと思います。データがたまれば、比較する情報が蓄積されますから、変化にも気付きやすいと思います。
なによりスポーツウォッチを使うと楽しい。そして生活が変化すると思います。毎日何気なくやっている行動が可視化できます。たとえば1日にどれくらい歩いているかが分かれば、平均歩数と比較ができる。1日15000歩程度歩く人が夜の時点で2000歩だったとしましょう。「これはまずいな」と思うはずです。そうすると「ちょっと歩くか」と実際の行動につながる。摂取カロリーが多すぎると「控えなきゃな」と思うし、睡眠の質が悪ければ改善しようと思うはず。スポーツウォッチは生活のモチベーションを上げるものだと思います。ぜひ、日常にスポーツウォッチを取り入れて、健康的な毎日を送っていただけたらと思います。
取材協力:ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba