皆さんはランチをどうしていますか? 食事は人生の楽しみの1つです。しかし、毎日のように塩分過多でハイカロリーな食生活を送っているとどうなるでしょう。……答えは明白ですね。今回のTopicsでは「お弁当作り」をご提案します。料理を作り慣れていない人もご安心ください。「難しく考えなくても大丈夫。作り続けているうちになんとかなる」と料理家の藤本久美子さんは言います。なにより塩分量やカロリーをコントロールできるので、ダイエットや体作りに取り組んでいる人におすすめです。手軽でおいしいお弁当作りを藤本さんにお伺いしました。
お弁当は作りだしたら楽しくなる
私はほぼ毎日お弁当を作っています。料理家ですので、調理は「当たり前」のこと。ですが、普段料理をしない人がお弁当作りと聞くと、「ちょっと面倒くさいなあ」と思うかもしれません。
だけど、作り始めるとそれほど苦にならないと思います。余ったものは冷蔵庫に入れておけば夜にまた食べられますし、家にいる人の食事にしてもいい。Instagramなどを見ると、おしゃれなお弁当写真がアップされています。ああいうのを見ると、ちょっと怯んでしまいますよね(笑)。でも、比較することなんてありません。栄養バランスが良く、自分がおいしければ良いんです。自分の体のためのお弁当ですからね。
できるだけ手間をかけないで作る
実際、お弁当を作る際は、できるだけ手間をかけずに作ることをおすすめします。今回のお弁当のおかずは
・鶏むねのごま焼き
・スクランブルエッグ
・キャベツと塩昆布の和え物
・スナップエンドウの塩ゆで
・ズッキーニの塩コショウ焼き
の5品です。
レシピは最後に載せていますので、ぜひチャレンジしてみてください。
料理家の私でも、朝起きてバタバタするのは好きではありません。できるだけ、手間をかけないようにしています。
メインの「鶏むねのごま焼き」は、一見ハードルが高そうです。だけど、切った鶏むね肉と塩麹をビニール袋に入れて揉んで、冷蔵庫に入れておいたものを焼くだけです。これでパサパサしがちな鶏むね肉が柔らかくなります。
塩麹に飽きたら、醤油で焼けば味も変化します。お弁当のおかずは、焼いたお肉(お魚、ソーセージなど)、たまご料理、野菜を入れておけばバランスも色味も良くなります。毎日違う料理にしようとか、見た目が悪いとかそんなに深く考えないでください。お弁当作りを続けていけば、知らない間にレパートリーが増えていきます。
お弁当には向き不向きの食材がある
せっかくのお弁当を食べて、体調を崩してしまっては元も子もありません。お弁当には向き不向きの食材があります。特に夏場は気をつけてください。向いていない食材の代表格は「切ったトマト」です。なぜかというと、水分が出てしまうし、ヘタの部分には雑菌が付いています。ミニトマトを入れる場合は切らずにヘタを取ってから、よく洗うといいですね。基本的に水分の多い生野菜はお弁当に入れない方が良いと思います。
あと、盲点なのがコロッケ。コロッケはお弁当の定番のイメージがありますが、実は調理後のジャガイモはとても傷みやすいんです。ポテトサラダも同様です。もし、オフィスの冷蔵庫を使うことができるなら、お弁当をそこに保管するといいでしょう。使える環境でなければ、保冷剤をお弁当の上に置いておくのもいいですね。
反対に傷みにくいのは、しっかりと焼いたお肉やお魚です。特に砂糖や塩が効いた味が濃いものは腐りにくい。「豚肉の甘辛炒め」なんていいですね。基本的には味が濃くて、ご飯が進むものは傷みにくいと考えていいと思います。とは言っても、ニンニクを多用すると、結構匂いがきついのでご注意ください。「味の濃い料理は健康に悪い」と思うかもしれませんが、お弁当の利点のひとつはご自身で量や味をコントロールできること。お弁当を作り続けることで、あんばいが分かってくると思います。
体のことを考えて作ればいい
私のお弁当のバリエーションはそれほどありません。何も考えなくても作れるくらいルーティーン化すればいいし、やればやるほど手順から無駄が省けると思います。朝から揚げ物をするなんて面倒くさいですよね。だけど、本当に揚げ物が好きなら、「揚げ物をルーティーン化」するといいと思います。そうすれば、油の処理を毎日しなくてすみます。
お弁当は気軽に、手間をかけずに作って欲しいですね。あまり、深く考えないでください(笑)。ただ、お弁当を食べる自分や家族の体のことを考えて作れば良いと思います。それだけでいいんです。
あと、おすすめは毎回写真を撮ること。別にInstagramにアップするためではありません(アップし続けると、ちょっとプレッシャーになるかも)。撮り続けることによって、「去年の今頃は何を食べたのかな……」ということが確認できます。そうすれば旬の野菜も予測できるので、頭の中でレシピを考えることができますよね。
お弁当箱には「曲げわっぱ」が最適
お弁当箱は角が丸い「曲げわっぱ」がおすすめです。これはスギなどの薄い木板を曲げて作ったお弁当箱です。なぜ良いかというと、角が丸いため盛り付けがしやすいし、見栄えも良くなるからです。
角がしっかりしているお弁当箱だと、ちゃんと盛り付けをしないと収まりが悪く、アンバランスになってしまうんですね。一方、曲げわっぱのお弁当箱はパシッと配置を決める必要がないので、適当に入れてもそれらしく見えます。これでお弁当作りのハードルはかなり下がると思います。
盛り付け方のコツは、おかずをごはん側から斜めに重ねていくことです。ご飯を一膳分ほど入れ、大葉で境を作ります(ない場合はバランなどでも大丈夫です)。そこに土台のようなイメージでスクランブルエッグを入れます。だし巻き卵のようにキッチリと成形するより、自由な形にできるふわっとしたスクランブルエッグがおすすめです。さらに焼いた鶏むね肉、キャベツの和え物、焼いたズッキーニを入れていきます。隙間にゆでたスナップエンドウを差し込んで、トマト(ヘタを取って!)を置いたら完成です。おかずを斜めに入れると、配置しやすいのでぜひ試してくみてださい。
簡単におしゃれなお弁当にする方法、
そしてその意味
冒頭で「栄養バランスが良く、自分がおいしいと感じれば」とお伝えしました。なのに、おしゃれ度を上げるっていうのは矛盾するかもしれませんね。ですが初心者こそ、彩りになる葉物に挑戦してほしい。葉物があると、それだけで美しく見えます。
お弁当って、恥ずかしがって隠す人がいますよね。だけど、葉物さえ入れておけば、おしゃれになって恥ずかしくない。葉物でお弁当に魔法をかけるんです(笑)。見違えますよ。この「おしゃれの力」に気が付いた人は、さらにお弁当の色味を意識するといいと思います。ズッキーニの代わりに赤いパプリカを焼くなんていいですね。
最後にレシピを載せていますので、ぜひお弁当作りに挑戦していただけたらと思います。料理に苦手意識を持っている人も、お弁当を作り続けることで料理が好きになると思います。料理は本当に楽しいので、ぜひ気軽に挑戦してみてください。
【今回のレシピ】
料理家 藤本久美子さんのお弁当
・鶏むねのごま焼き
鶏むね肉 1枚
塩麴 大さじ1
洗いごま(なければ炒りごまでも) 適量
サラダ油 大さじ2~
作り方
- 鶏むね肉は繊維を断ち切るように、大きめの一口大にそぎ切りにする。厚さは1センチ程度。ビニール袋に入れて塩麴を揉みこみ、15分おく(一晩おくとお肉がより柔らかくなります)。
- バットに洗いごまを出し、1の鶏肉の両面にたっぷりとつける。
- フライパンにサラダ油を熱し、2を弱火で両面こんがりと焼く。
・スクランブルエッグ
卵 1個
塩 ひとつまみ
砂糖 小さじ1/3
サラダ油 大さじ1
作り方
- ボウルに卵を割りほぐし、塩・砂糖を加えて混ぜる。
- フライパンをよく熱し、サラダ油を加える。油が熱くなったら1の卵液を一気に入れる。
- 固まったところから大きく3回ほど混ぜて、ふんわりとひとまとまりになったら完成。混ぜすぎ、火の通しすぎに注意して。
・キャベツと塩昆布の和え物
キャベツの葉 2枚
塩昆布 5g
ごま油 小さじ1
作り方
- キャベツは洗って一口大に切り、ビニール袋(耐熱用)に入れて、電子レンジでしんなりとするまで加熱する(600Wで2 分30 秒が目安)。取り出してそのまま少し冷ます。
- 粗熱がとれたらキャベツを絞り、塩昆布とごま油で和える。
それ以外には・・・
- スナップエンドウの塩ゆで(塩を入れた熱湯でさっとゆでるだけ)
- ズッキーニの塩コショウ焼き
(輪切りにして塩をふる。水分をふき取ってオイルを熱したフライパンで両面焼き、塩・コショウで味付け)
料理家 mado foodstudio 主宰 藤本久美子
https://madofoodstudio.wixsite.com/madofood
https://www.instagram.com/madofoodstudio/