SpecialVol.31

AFの新しい取り組み
地域とつながる場所 
秋田県にエニタイムフィットネス
にかほTSUGUBA店が誕生

文・ヘルシアマガジン編集部
写真・船橋陽馬

エニタイムフィットネスは街中だけでなく、空港や大学、病院、公園などさまざまな場所に出店しています。2024年7月に秋田県にかほ市に『エニタイムフィットネスにかほTSUGUBA店』が誕生しました。この店舗はTDK株式会社の企業寮「TSUGUBA」の共用棟「TSUGUBAテラス」にあります。「TSUGUBAテラス」は一般利用が可能で、にかほTSUGUBA店はエニタイムフィットネス会員なら誰でも利用できる施設です。なぜ、企業寮の中に開かれた場所があるのでしょうか。エニタイムフィットネスにかほTSUGUBA店を訪れ、関係者に話を伺いました。

企業と地域をつなぐ場としての、
フィットネスジム

秋田県にかほ市は、日本海と鳥海山に囲まれた美しい地域です。市内には、電子部品を中心としたハイテク工場が数多く立ち並んでいます。これは、世界的な電子部品メーカーであるTDK株式会社の創業者、齋藤憲三氏がこの地域出身であることが大きく影響しているそうです。

JR仁賀保駅から車で3分ほどの場所に7棟からなる建物群が見えます。ここがTDKの「まちの企業寮 TSUGUBA」です。ただ、一般の企業寮とは少し異なるようで、地域に開かれた施設として2024年5月にオープン(一部)しました。寮の共用部でもある「TSUGUBAテラス」の食堂・私設図書館・ランドリーを一般の方々に開放しており、エニタイムフィットネスにかほTSUGUBA店は、同年7月にオープンしました。

TSUGUBAテラスを案内してくれたTDK株式会社 企業寮開発PJチームの中杉仁一さん(右)と齋藤和真さん(左)。

「TSUGUBAは、TDKが設置した7棟からなる新しいスタイルの企業寮です。住居棟には社員の多様性を支援するために、車いすで生活できるバリアフリーの部屋もあります。地域の方もご利用いただける共用棟TSUGUBAテラスには食事を楽しんだり、コミュニティーを育むための場所が設けられています。プライベート空間とコミュニティー空間をあえて明確に分ける設計が特徴です。TSUGUBAというネーミングは、人と人をつなぐ、街と人をつなぐというコンセプトに基づいています。ここでは、新鮮な秋田県産の食材を利用するほか、秋田県内で発電された再生可能エネルギー由来の電力を使用するなど、食もエネルギーも地産地消を目指した運営を進めています」(中杉さん)

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建物内は秋田県産木材をふんだんに使った温かな雰囲気。大きな窓からの採光があり、室内はとても明るくて開放的で、天気の良い日は日本百名山の一つである鳥海山が一望できます。地元の新鮮な食材を使った健康的な料理をいただける1階の食堂では、社員の方に交じり、地元の方々が楽しそうに食事をしていたのが印象的でした。人と人、場所と人、企業と地域をつなぐ場として「TSUGUBA」は生まれ、この地で育っていく予感がします。

大学生や若手社員の声を聞き、
新しい場所が生まれた

「TSUGUBAのコンセプトは、にかほ市で生まれ育ち『2勝98敗の男』と呼ばれるほど、どんな失敗や困難にも果敢に挑戦し続けた創業者のチャレンジ精神、さらにはわれわれの先輩方が積み上げてきたものを、地域住民の皆さまや弊社従業員にしっかりとつないでいこうという想いが込められています。そのためロゴにも、継ぎ手のイメージを入れています」(齋藤さん)

その言葉通り、2階には私設図書館、その隣にはエニタイムフィットネスにかほTSUGUBA店があります。ここではTDKの社員だけでなく、地域の方々や学生が共に時間を過ごします。企業寮にフィットネスジムを設けることにしたきっかけは何だったのでしょうか。

建物内には企業色がほとんどなく、観葉植物近くにさりげなくTDKのカセットテープが置かれていた。

「施設の企画段階から、若者による寮づくりをテーマに若手社員や地元大学生とワークショップを重ねてきました。その中で秋田の冬の過ごし方が課題として挙がったんですね。ご存じのように秋田は雪深い地域です。特に冬季には外で運動する機会が減り、運動不足が多くの方の問題となっていました。そこで、身近に運動できる場所を設けることが重要だと考え、フィットネスジムを導入することになりました。若手から多くのアイデアが出た中で、最もふさわしいのがジムだと考えました。やはり、ジムは気軽に利用できますし、従業員の健康増進だけではなく、地域住民の健康という観点でも重要だと考えたからです。TSUGUBAを通じて地域と人がつながり、新しいコミュニティーが生まれる場となることを目指しています。そのために、イベントの企画など地域とのつながりを深めていきたいですね」(中杉さん)

フィットネスジムは
人々の時間軸や生活に溶け込んでいく

株式会社Fast Fitness Japan 執行役員の松沢一輝 営業本部長

エニタイムフィットネスを運営する株式会社Fast Fitness Japan 執行役員の松沢一輝 営業本部長に、「なぜ、企業寮という場所に出店したのか」と尋ねると、松沢さんは顔をほころばせました。「にかほTSUGUBA店は可能性しかないと思います。TSUGUBAという施設の強さで誘引ができるし、地域の方にとって、来る理由がたくさんある場所なんですね。寮や周辺にいる人の時間軸や生活に溶け込むやり方ができると思うんです」と期待を寄せます。そもそも、松沢さんは大きな街やロードサイドへの出店以外にも、さまざまな場所にエニタイムフィットネスがあるべきだと考えていました。そして、松沢さんは場所以上に大切なのが「時間」だと言います。

「トレーニングを習慣化している人は24時間の中に必ず、睡眠や食事、仕事と同列に『運動の時間』があります。しかし、習慣化していないと、映画やゲームなどの『趣味の時間』に充てられています。私たちエニタイムフィットネスは人に来ていただきたいと考えています。睡眠や食事と同列に運動しに来てもらいたいのです。そのためには、利用者の皆さまに多くのタッチポイントを設けなければならないのです。都市型、ロードサイド型といった出店場所はたしかに効率がいい。ただ、利用者の皆さまが日常的に『運動をしたいな』と、ふと思える場所にエニタイムフィットネスがなければ……という考えが根底にあるんです」

エニタイムフィットネスは生活のさまざまなシーンに利用できるよう、商業施設やロードサイドに加え、空港・大学・病院・公園といった多様な場所に出店しています。これが松沢さんの言う「タッチポイント」です。「運動をしたいな」とふと思った時に、エニタイムフィットネスがある環境です。その環境が整備されていった時、多くの人にとって運動が当たり前のものとなり、習慣になっていくのでしょう。

「福岡空港にエニタイムフィットネスがあります。飛行機を利用する方の多くは早めの時間に着きますよね。その時間に利用していただきたい。また、大学にも出店しています。授業と授業の間って結構時間が空くことがありますよね。その間にジムを使っていただきたい。時間をいただく選択肢を提供していきましょう、という考えで出店しています。

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1日の時間は誰もが同じ24時間です。その大切な時間を使っていただく時、選択肢としていろいろな場所にエニタイムフィットネスがあるといいなと思います。その“チャンス”をご提供するのが私たちエニタイムフィットネスの役割でもあると思うんですね。そういう意味で、食事をしたり、本を読んだりできる場所の近くにエニタイムフィットネスのジムがあるのはとてもいいですよね。本当に、TSUGUBAテラスには期待しています。私たちはこれからも、『場所』としてだけでなく、『時間』としても価値を提供していきます。一人でも多くの方に、エニタイムフィットネスの扉を開いていただきたいですね」

新しい企業寮としてスタートした「まちの企業寮 TSUGUBA」。これからもTDKの社員の皆さんや地元の方々に愛されていくでしょう。そして、にかほTSUGUBA店も人と人、人と地域をつなぐ場所になっていくはずです。