ReviewVol.17

冬の遊びを拡張する道具
<スノーシュー>

2022.02.09

日常的に運動をする人も、冬は活動が鈍るという声を聞く。スキーやスノーボードを楽しむ人はシーズン中に雪山を幾度か訪れるだろう。だけど、これらウィンタースポーツは初期投資がかかるし、上達するのに時間も必要だ(もちろん、そこが面白味なのだけれど)。雪山登山はさらにハードルが高い。

先日、温泉取材をした宿にスノーシューが置いてあった。宿の人に訊ねると、冬靴や長靴に装着すれば雪の上を歩けるという。深い雪を気にすることなく歩くことができ、特に練習もいらないと言う。「本当かな」と反射的に思った。僕はスキーをするが、雪山で転び、スキーが脱げてしまったときの大変な思いが脳裏をよぎったからだ。新雪は人の体重を支えられず、一歩踏み出すごとに体が埋まる。

疑いの目がばれたのだろうか。「歩いてみますか?」と宿の人に促された。ブーツにスノーシューを取り付け、雪上を歩く。宿の周りの雪は踏みしめられていたので、道の端の斜面を登ることにした。スノーシューについているクランポンという爪で雪をつかむと、雪上をズンズン歩くことができた。本当にズンズンという感じなのだ。ただ、接地面を広く取るためにフレーム幅があるので、普通に歩くと左右のフレームが接触する。それ以外、気になることもなく、履いた瞬間に自由に雪上を移動することができた。

斜面を登り切ると雪原に出た。雪のない季節は畑が広がっているのかもしれない。少し歩いただけなのに体が温まってきた。これはいい運動になる。実際にシニアの方やスキーなどのウィンタースポーツに馴染みのない方がスノーシューを借りてトレッキングなどを楽しむのだそうだ。夏場には藪でアクセスできないような場所も、この雪原のように雪で覆われていると容易に歩けるのだという。スノーシューを履かなければ、この景色を見ることはなかっただろう。たったこれだけの道具で冬は楽しくなる。ウィンタースポーツに興味のある人は、まずスノーシューからはじめてみてはいかがだろう。気軽に参加できる体験イベントやレンタルが用意されているところもある。スノーシューは冬の行動を拡張するはず。

モンベル・アウトドア・チャレンジ(M.O.C) では全国でスノーシューイベントを開催中。
購入前にレンタルで体験したい場合は、モンベルストアにてスノーシューのレンタルも行っている。

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