FoodVol.5

あなたの体を
つくるプロテイン

フィットネスジムで見かける、プロテインを飲む人。興味はあるけれど、どんなものなんだろう?と思っている人も多いでしょう。もしかすると、自分とは関係のないものとお考えかもしれません。スポーツショップやドラッグストアの店頭に並ぶ粉末状のプロテインは「タンパク質を補うための補助食品」。適切な食事や運動と組み合わせると、大きな筋肉をつくることができ、またダイエットとも親和性が高いと言われています。今回はOSHMAN’S新宿店トレーニング事業部セールスアドバイザーの奥山浩太さんにプロテインについて伺いました。
文・ヘルシアマガジン編集部
写真・山本マオ

運動とプロテインの関係

プロテインとはタンパク質です。体をつくる材料となる栄養素で肉、魚、卵、大豆、乳製品などに多く含まれています。スポーツショップやドラッグストアに並ぶ「プロテイン」にはタンパク質のほか、ビタミンやミネラルなどが含まれています。
フィットネスジムなどでトレーニングをする人は、ぜひプロテインを取っていただきたいと思います。プロテイン(タンパク質)は筋肉の材料になりますので、取っていただいた方が大きくなりやすいです。例えばプロテインを取らずにトレーニングをするとします。体を動かすにはエネルギーが必要です。筋トレをして、しばらく経った人はすでに筋肥大しているはずです。必要なエネルギーも以前より増えているでしょう。タンパク質が足りていない状態でトレーニングをすると、自分自身の筋肉を分解してエネルギーに変えてしまうことがあります。体をつくる栄養素が足りていないのだから、筋肉は増えませんよね。ですので、栄養補助食品としてプロテインが必要になってくるんです。

もちろんプロテインは筋肉をつくる上で必要ですが、トレーニングをあまりやらない人でも健康のために「栄養素」として日常に取り入れてもらえたらと思います。筋肉をつけ、代謝を良くするためにダイエットを頑張っている人にもとてもいいと言われています。髪、爪などの材料にもなりますので、美容に興味のある方の生活にも取り入れてもらいたいですね。最近ではシニアの方も、健康維持のために日々の食事の補助食品として取り入れる方が増えているようです。
日本の統計でタンパク質を調査し始めたのが、昭和30~40年ぐらいと言われています。令和となった今、いろんなものを食べられるにもかかわらず、タンパク質の摂取量は昭和30年代と同じで、女性はむしろ減少傾向のようです。偏食だったり、食事をお菓子で済ませたりという人も少なくありません。また、SNSなどの普及で体形を気にしすぎて「痩せよう痩せよう」と思い込んでいる人も多いようです。実はタンパク質不足の人も多いんです。

しかし、最近になって変わってきたように感じます。タレントのローラさんがご自身の体重やトレーニングなどを公表されているんですよね。ローラさんの影響で筋肉をつけて健康的な体をつくろうというムードや意識が高まっていて、女性のお客様からプロテインについてのお問い合わせが増えているんです。お試しで小分けされたプロテインを買っていかれますね。プロテインは「ハードなトレーニングをする人が飲むもの」というイメージでしたが、今は多くの人が生活やトレーニングにプロテインを取り入れています。

プロテインは
あくまでも補助食品。
本当に大切なものは?

プロテインは粉末状になっていまして、これを水で溶かして飲みます。そして、様々な味付けがされています。お好みに応じて選ぶと良いでしょう。バナナ、ココア、マンゴー味などがありますが、私はメロン味が好みです(笑)。

プロテインを飲む際は「ブレンダーボトル」や「プロテインシェイカー」と呼ばれるものを使うと、ダマができず溶かすことができます。中には水とプロテインを撹拌(かくはん)するためのボールが入っているものもあります。これにより、プロテインをとてもきれいに溶かすことができますね。料理の際に使う方もいるようです。

シェイカーは溶かす時にこぼれ出ないように、蓋がわりときつめに留めてあります。たまに「蓋が開かない。不良品じゃないか?」と言われることがありますが、こういう仕様ですのでお気を付けください。

ところで、プロテインを飲んだから「筋肉が付く」とか「ダイエットしやすい体になる」というわけではありません。大前提としてプロテインはあくまでも補助食品であり、「本来の食事が体をつくる」と考えてください。「プロテインありきの食事」ではなく、「食事ありきのプロテイン」なのです。健康的な体を維持し、筋肉をつくっていくには「きちんと3食を取る」ことが基本です。そのベースの上にプロテインを加えていきます。

食事のカロリーを落としたいけれど、ちゃんと栄養素も取りたいという人は、3食のうちの1食をプロテインに置き換えてもいいでしょう。その食事もプロテインだけでなく果物をプラスするといいと思います。
バランスの良い食事をし、トレーニングを行い、その上でプロテインを取り入れると、数ヶ月で体に変化が出てくると言われています。体内のタンパク質が入れ替わるのにおよそ3ヶ月ほどかかると言われていますが、3ヶ月もたずにやめてしまう方が多いんですよね。「トレーニングも食事も改善したのに、なんで痩せないんだろう」「どうして筋肉が付かないんだろう」という方の原因の多くは、この「3ヶ月後」という継続性にあると思います。

プロテインはいつ、
どのタイミングで飲むの?

トレーニングをするときに、どのようにプロテインを取れば良いかをお話しします。体重60kgの男性が週に2~3回トレーニングをやっていると仮定しましょう。この場合、1日に取っていただきたいタンパク質の量は「体重×約2g」が目安です。つまり、1日に約120gのタンパク質が必要になってきます。女性であれば体重に1.2~1.5gをかけたタンパク質量が目安です。体重が50kgの人でしたら、およそ75gですね。
ステーキ(100g)でタンパク質が20gほどと考えると、食事だけで取ろうとしたら大変ですよね。肉や魚、大豆製品をバランスよく使った食事を3食取っても、必要な量の6割程度と言われています。食事でタンパク質の比率をさらに増やそうとすれば、お金もかかりますし、お肉でしたらタンパク質以外にもカロリーや脂質までたくさん取ることになってしまいます(そしてコレステロール値も上がるでしょう)。そこで、栄養補助食品としてのプロテインを取り入れ、タンパク質を補ってもらいたいですね。

プロテインを飲むタイミングはいろいろありますが、最近主流になっているのは「トレーニング前後」に摂取です。体づくりを意識するトレーニーの皆さんなら、摂取タイミングを意識しましょう。トレーニングをしていて、プロテインを取り始めた方がよくやってしまうのが「トレーニングした日だけプロテインを飲む」ということです。筋肉を大きくし、体づくりが目的なのであれば「毎日飲む」ことをおすすめします。

トレーニング後、筋肉は「破壊と再生」を繰り返し、太く、強くなると言われています。トレーニングがオフの日ほど、筋肉を再生させるための栄養が必要になってきます。「朝起きた時」「就寝前」「食事と食事の間」のタイミングで摂取するのがおすすめです。朝は寝ている間に体の中の栄養素が使われて枯渇している状態なので、取り込みやすい時間でもありおすすめの摂取タイミングです。

日頃から間食をする人は、お菓子をプロテインバーに置き換えるのもいいですね。一昔前は、プレーンやチョコ味くらいでしたが、今はたくさんの種類があります。中にはレモンチーズケーキなんていうのもあるんですよね。普通に食べても十分おいしいです。職場にプロテインシェイカーを持って行けない人は、こういうもので摂取するのもおすすめです。

プロテインを
選ぶ時は何を基準に?

大きく分けると動物性プロテイン(ホエイ、カゼイン)、植物性(ソイ)プロテインがあります。今主流なのはホエイプロテイン(牛乳由来)です。水に溶けやすく、消化吸収しやすいのが特徴です。また、牛乳のタンパク質には、20種類のアミノ酸が含まれています。また、その中には人の体内ではつくることのできない9種類の「必須アミノ酸」も含まれているんです。
※必須アミノ酸とはバリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、ヒスチジンのこと。
まずはこの「ホエイプロテイン」を試してみるといいと思います。牛乳を飲むとお腹が緩くなってゴロゴロする方がいますよね。原因はプロテインに含まれる乳糖(ラクトース)という成分で、うまく消化できていないのです。この乳糖不耐症の方は、乳糖を減らした「ホエイ アイソレート(WPI)」という種類のプロテインがありますので、こちらを飲むといいですよ。

先ほどもお話ししましたが、体の変化は体内タンパク質の細胞が入れ替わるおよそ3ヶ月後に訪れると言われています。「プロテインを飲んだのに筋肉が付かない」と悩んでいる方は、そこでやめてしまわず、運動とバランスの良い食事をし、そしてプロテインを飲み続けてみてください。徐々に体は変化してくると思いますよ。

最近では、ドラッグストアやスーパーでもプロテインを販売しています。スポーツ専門店で取り扱っているプロテインは、精製や栄養素などのグレードの高いものが多い傾向があると思います。成分などを見比べて、ご自身の運動への向き合い方や予算を考えてご購入ください。専門店ではプロテインや他の体づくりに必要な栄養素に詳しいスタッフがいますので、なんでもご相談を。ぜひ、プロテインを日々のトレーニングに取り入れてみてください。継続して摂取することで、体の変化を体感すると思いますよ。

取材協力:オッシュマンズ公式通販サイト
https://www.oshmans-online.jp/shop/default.aspx
撮影協力:OSHMAN’S 新宿店