走ってみよう!
1~5キロを走るには
ジョギング入門
走るには
「目標」を持たないこと!
走り慣れていない人にアドバイスをするとしたら、「走ろうとしなくていい」とお伝えしたいですね。「走ろう!」と思うほど、体に力が入ってしまうんです。
走ることはとてもシンプルな動作で、片足を踏み込んで、体を前方に倒せば走る動作になります。そしてスキップをするように、膝を高く上げて踏み込めば良いランニングフォームになるはずです。これをどれだけ続けられるかは、それぞれの筋力やモチベーションによって変わります。ですが、走ることを繰り返していけば、やがて長い時間走れるようになります。
気をつけていただきたいのは、初めから「長い距離を走ろう!」と、考えないことです。やっぱり走るってつらいですよね。ランナーの私だって思います(笑)。体がついてこない時期に目標を決めてもしんどいだけです。初めのうちは距離に関しての目標を立てなくていいと思います。
人によって走るペースがある
私は「ゆっくり走る」のが好きなタイプです。なかにはダッシュをしたり、速く走りたい人たちがいますよね。人によって走るペースがあるので、それを見つけてみてください。「健康維持のために1~5キロくらいを楽しく走りたいな……」と思うなら、息が上がらない手前ぐらいのゆっくりした速度で走るといいと思います。
「30分体を動かし続ける」を習慣化していくと、「走っている時間」の比率が高くなっていくと思います。つまり、結果的に走る距離が長くなります。アプリやスポーツウォッチにはGPSと連動してジョギングやウォーキングの記録が取れるものがあります。こういうギアを取り入れると楽しく運動できるかもしれませんね。やはり、人は目に見える評価があった方が、達成感や満足感に繋がりやすいですから。
1人で走るのもいいですが、友人やパートナーと共に走るのもいいと思います。並走して走るだけではなく、少し遊びの要素を入れると楽しくジョギングができます。たとえば、先頭の人が全力ダッシュをして、つらくなったら先頭を入れ替える。もしくは、1分ダッシュして1分歩くとか。インターバル要素を取り入れると走りのリズムに変化があって楽しいでしょう。
コースも同じ所を走らず、先頭の人が即興でコースを決めていったり。坂道や階段などを走っても変化が楽しめますね。実際にマラソン選手は、こういうトレーニングを取り入れています。ジョギングが続かない飽き性の人は楽しく走ることができれば、続くと思います。ぜひ、自分の好きな走りを見つけてください。
長く走るための
「3の法則」?!
走ることを続けるには「3」がキーワードです。これは「3の法則」や「3の基準」などと言われます。ジョギングの場合、「週3回走る」「3週間続けてみる」「3ヶ月続ける」を意識してみてください。
まず3週間ほどで体重が減る、筋力が付くなど、なんらかの体の変化が出てくるはずです。そして、3ヶ月続けられたら、かなり体力や筋力がついています。もっと距離を伸ばしたり、速度をアップするなど次のステージにいけるはずです。
私は走りに加えて、筋力トレーニングを取り入れています。今の私たちの生活は車や電車移動が多く、歩くこと自体が減っていますよね。それに加えて、シューズの性能が上がっているので、以前ほど筋力を使わずに走ることができます。ですが、本当はお尻の大臀筋(だいでんきん)と太ももの大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を使わないと怪我をしやすくなってしまいます。ですので、私は大臀筋や大腿四頭筋のトレーニングを取り入れています。
どんな動物もお尻がしっかりしていますよね。やはり、ジムでお尻と太ももの筋トレをした方が走りにはいいし、きれいなフォームに繋がります。下半身だけではなく、上半身のトレーニングもした方がいいですね。腕を振り、肩甲骨の動作を良くすれば、胸を広げて走ることができます。そうすれば、呼吸も楽になります。ジムではレッグプレスで下半身、チェストプレスやラットプルダウンなどで上半身(肩甲骨)を動かすマシンを使用するといいでしょう。
義務感で走るのは怪我のもと
疲れて走りたくない日もあると思います。集中できない日もあるでしょう。そんな時は、無理をしないでください。ジョギングを「義務化」してはいけません。気分が乗らないときはやらなくてもいいんです。ですが、余裕があれば、30分体を動かしてみてください。ジムに行ってもいいし、ひと駅手前で降りて歩くのでもいい。30分の有酸素運動を習慣化できれば、体が変化してくるでしょう。
それまで走っていない人がジョギングを始めると、膝を痛めることが多いようです。原因は膝から下で走っているからです。しばらく走るのを止めて痛みがなくなったら、無理のない範囲で坂道や階段を使ってみてください。そうすれば、自然と足を上げるフォームになるのでお尻や太ももの筋肉を使い、結果的に膝への負担も減ると思います。
ジムのトレッドミル(ランニングマシン)を使うのもいいですね。この場合、5%以上の軽めの傾斜をつけてください。さらにお尻や太ももに効かせたい場合は10~15度の斜度をつけてください。
ランニングシューズのこと
ジョギングにはあまり道具が必要ありません。30分程度だったら高機能なウェアもいりませんし、履き慣れたスポーツシューズで大丈夫です。ですが、走り続けていると「ランニングシューズが欲しいなあ」と思うことがあるでしょう。そんなふうに気持ちが動いた時には買うといいですね。それに、ランニングシューズを履くと気持ちも上がりますから(笑)。
ですが、合っていないシューズは怪我のもとです。ランニングシューズは専門店で足の形やサイズを見てもらって選んでください。最初はクッションがある厚底シューズの方がいいかもしれません。クッションがあると、前に進むので、走っていて楽しいんですよね。そうやって、靴のパワーを借りて走るのもいいと思います。ある程度走れるようになったら、シューズの好みもわかってくると思います。好みに応じて、ソールが薄かったり、グリップ力があるものを選んでも良いかもしれませんね。
走る先にあるものって
なんでしょう
ジョギングを3ヶ月続けられたら、ある程度の体力がついていると考えて大丈夫です。30分で5キロくらいの距離が走れるようになっています。さあ、これから距離を伸ばすか、速さを求めるか。きっと、みなさんの走りの好みが分かれるところだと思います。
速く走りたいと思う人は5キロのレースを目指すのもいいでしょう。レースってモチベーションが上がりますからね。距離を伸ばしたい人は、走る場所がどんどん増えると思います。家の周りを走っていたのが遠くまで行けるようになるし、旅行先などで走るのも気分が変わって楽しいですよ。
本格的に走れるようになってきたら、食事は「走る2~3時間前」には済ませてください。そして、公園で水分を補給したり、ドリンクを買えるように小銭を持って走るのもいいでしょう。特に夏場は脱水や熱中症などに十分注意して水分補給をしてください。
プロウルトラトレイルランナー。中学1年生から兄姉の影響で走ることが好きになり、高校・大学では駅伝部に所属し全国駅伝に出場する。引退後、大学院時代に専攻した登山の運動生理学の研究をきっかけに山の魅力にはまる。現在は、プロトレイルランナーとして国内外のウルトラトレイルレースで活躍しながら、ミウラ・ドルフィンズ(代表 三浦雄一郎)にて、登山者に向けた低酸素トレーニング指導を行う。登山やトレイルランニング以外にも、クライミング、スキー、サーフィンやスキンダイビングなど、自然の中で遊ぶことを好み、環境負荷の少ない食事や生活、環境問題についても積極的に取り組んでいる。Thailand by UTMB準優勝(2021年)、ULTRA-TRAIL Mt.FUJI 優勝(2022年)、Pirin Ultra優勝(2022年)
Instagram:@miyazaki_kimino
「走るのは苦手」「1キロも無理かも!」という方も多いのではないでしょうか。しかし、持久力や足の筋肉をつけるにはジョギングは効果的です。また、ジムでの筋力トレーニングと組み合わせることで、ダイエット効果も期待できます。
今回はウルトラトレイルランナーの宮﨑喜美乃さんに「1〜5キロ走ることのできるジョギング」の方法をお聞きしました。記事を読んで、日常にジョギングを取り入れてみてはいかがでしょうか?